5-5の40-40
ノーアド、6ゲーム先取の試合で「5-5の40-40」になったことが何度かある。最も痺れるポイントだ。その1ポイントによってそれまで積み重ねた全ての努力が報われるか無駄になるかが分かれる。勝負事なので仕方がないとはいえ、過酷な精神状態に追い込まれる。
そんな時に平常心を保てるプレーヤーがいるのだろうか?恐らく、強いプレイヤーは、その場面を迎える前に勝負を決めるポイントをものにする。そこまでもつれたのだから、両者の実力は均衡しているのだ。どっちに転がるか分からない場面の前に、趨勢を決めてしまうのが勝てる戦い方なのだ。
これには先がある。ある程度の試合経験があれば、お互いに勝負所が分かる。つまり「5-5の40-40」に近い精神状態が、そのポイントの前に訪れるのだ。プロの試合でも、お互い一歩も譲らず、明らかにその他の場面と違うポテンシャルで戦う場面がある。将棋では一手の差がつけば、滅多なことでは逆転しない。敗者は、それを理解しているので、投了するか、負け形(相手が対応を間違えると逆転する、あるいは、一手差で負ける形)を作る。いわゆる予定調和を形にするのだ。
鈍感なプレイヤーは、それを踏まえてプレーできない。不利になっても頑張って挽回するが、力尽きて負ける。完全に相手の手の内で試合が進む。
【勝負所】
最初の「5-5の40-40」は、ゲームの序盤にある。ボーッとゲームに臨むと、序盤に喰らったパンチでノックダウンするボクサーのように、中盤の前にほとんど勝負が決まってしまう。試合の入り、ゲームの入り、セットの入り、は重要なのだ。
互いのサービスゲームをキープし合う展開では、最初のブレイクポイント、互いにブレイクしあう展開では、最初にキープできそうなポイント、それらが決まって均衡が崩れた時の次のゲーム最初のポイントが勝負所だ。
野球ではピンチを切り抜けた裏の攻撃、チャンスを逃した裏の守備に試合が動く。それぞれの精神状態を少し考えれば、その理由が分かる。ボクシングでは来ると分かっているパンチを喰らってもそれほど効かないが、想定外のパンチを喰らうとダウンすると言われる。あらゆる勝負事の裏に人間の心理が流れている。
「5-5の40-40」のポイントであろうが、そうでない場面のポイントであろうが、同じ1ポイントなのだ。そう思えるプレイヤーが強いのか弱いのか、それも相手次第だが。
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