勝てない理由
試合に勝つためには、相手より早く勝つためのポイントを取る必要がある。それは、自分より早く相手に勝つためのポイントを与えないことでもある。当たり前のようだが、この2つは少し違う。
勝てないプレーヤーは、ミスによって相手に勝つためのポイントを与えていることが多い。このようなミスをすると、精神的には、相手にとって+1、自分にとってー1なので差し引き2ポイント以上の効果がある。その影響は、勝敗を決める最後のポイントに近づくほど大きくなる。
同じミスでも、ウィナーを狙って打ったショットのミスは、相手が「次には決められるかもしれない」と感じれば1ポイント未満の効果となる。攻撃した側がミスを許容できるのであれば、精神的なポイント差は0になるどころかプラスに作用することもある。
試合の勝敗をプレーヤーの精神面で見れば、実際のポイントと異なるやり取りがある。ショットや戦術、戦略は、プレーヤーの精神状態に左右されるから、相手の精神を読めないプレーヤーは、負けやすいといえる。
【勝てる理由と勝つための技】
ネットに近く、高い打点ほど難易度の低いショットだ。極端な例だが、ネットにベタ詰めして高い打点で打てば、初心者でもポイントを取ることができる。ネットから離れ、打点が低くなるほど、難易度が高い。試合に勝つには、ネットに近く、高い打点でショットを打てる技術が必要なのだ。トッププロの試合を見ると、相手のボールが浅く、時間的余裕があるほど、ウィナーを打ってポイントが決まる。
(ネットからの距離 ➕ ボールの低さ)✖️相手の球質 = ショットの難易度
ネットから離れた低い打点で攻撃的なショットを打つのは難易度が高い。しかし、用具の進化に伴うスピン性能の向上が、それを可能にした。深い位置から相手コートの深い位置に打つスピンの効いたボールは、アドバンテージとなる。その代表格がナダルだ。このプレースタイルを実践するには、相当の筋力と体力、持久力が必要だ。伊達公子が成功したのは、エンドラインから下がらず、ライジングでカウンターショットを打てたからだ。多くのプレーヤーにとって参考にすべきは、伊達公子のプレースタイルだろう。
しかし、それらのプレースタイルを実践するには、標準以上の体力や技術が必要だ。そこで、一般的には、相手の浅いボールをコートに入って高い打点で攻めることが、最も効果的な攻撃方法になる。もしサービスライン付近に力のないボールがワンバウンドしたら、ウィナーを狙えるチャンスボールなのだ。しかし、中級クラスの試合では、そのボールでラリーを続けていることが多い。あえてコート内に入らずに、打点を落としてショットを続ける。決め手がないのでラリーが長く続き、相手のミス待ちになる。中級クラスではミスが多いので、それでもポイントが動く。そこで、あえて攻撃せず、ミスをしない方が勝つ試合が多くなる。
しかし、中級クラスの試合でも、トーナメントで勝ち上がると状況が変わる。また上級クラスの試合では、凡ミスが減るので、相手のミス待ちをしても勝てない。勝つための技、攻撃力が必要になる。
【ポイントを取るオプションがなければ勝てない】
無難にミスを避けてボールを繋ぐ技術は、あらゆるレベルで必要だ。しかし、試合の趨勢を決める場面で、攻撃のオプションを持っていなければ、勝つことは難しい。
試合に勝てないプレイヤーは、まずは余計なミスを減らして失点を防ぐこと、その上で、攻撃のオプションを増やすことが必要だ。それに加えて、中級クラスのプレーヤーが、深い位置からグリグリスピンのかかったボールを打ち続けるプレースタイルを目指すのは現実的ではない。相手の浅く緩いボールを見逃さず、コート内の高い打点でウィナーを狙うショットのオプションを増やすこと、あるいは、浅く緩いショットを引き出すオプションを増やすことが重要だ。
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