型の重要性

 空手の型を修練すると、実戦で自然に型の動きが出るという。しかし、咄嗟にそれができるには組み手の練習も必要だろう。

 テニスでは、素振りが綺麗で、球出しのボールを上手に打てるプレーヤーが実践で良いショットを打てるとは限らない。空手と同様に、咄嗟に最良のショットを打つには、実践が必要だ。

 例えば、深く強いボールが飛んできたら、後傾して上手く返球できないことがある。上級者が低く構えてライジングで処理したり、ポジションを下げて強く返球するのを見ると、なるほど、そうするのか!と納得する。やってみようと思うが、また、同じ反応を繰り返してしまう。

 テニスでは、常に同じフォームで打球することはできない。しかし、できる限り最良のフォームで打つことが理想だ。全盛期のマッケンローのように一見型がなく、全てがアドリブに見えるプレーヤーも、本人なりの型がある。それが、一般的な型でないだけだ。

 テニスには、スキージャンプや体操のような型の採点はない。美しいフォームで打つことは手段であり目的ではない。しかし、理に叶う美しいフォームから放たれたショットは、成功確率が高く威力もある。それを追求するのもテニスの楽しみ方の一つだ。

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