ショットに意味を持たせる
ギリギリで追いついたボールをかろうじて返球した時「シングルスで勝つには、そのショットでコースを狙わなきゃ!」とアドバイスされたことがある。それ以来、一打の意味を考えるようになった。狙いを持たずに漠然とショットすれば、ある程度以上のレベルでは確実に先手を取られる。テニスはボールを介した会話である。相手の主張を通して、そのまま押し切られては勝つことができない。先手を取られた場合でも、完全な主導権を渡さないことを考えるべきだ。
テニスはショットの出来栄えを競うゲームではない。しかし「この一球は絶対無二の一球なり」その一球にどれ程の意味を込めるかによってショットの質やプレーヤーの力量が変わり、強いプレーヤーほど無意味な一打を打たない。
テニスに限らず、普及しているスポーツは、ゲーム性を高めるレギュレーションを設定している。甘いボールを打てば相手にチャンスを与え、ウィナーを狙うには相応のリスクが伴う。リスク対効果を考え、最もコストパフォーマンスが高い攻撃的なショットを打つことが大切だ。一か八かの勝負をする場面もある。51%理論は、常に勝負の一球を打ち、51%決まれば勝つという攻撃至上の戦略だ。そこまで極端な考え方ではなく、意味のない無駄な一打を減らす工夫をすることは、上達に欠かせないことだ。
【無駄な一打】
相手の攻撃を受け止め、より攻撃的なショットを追求することは大切だ。この観点でゲームを観戦すると、レベルが低いほど(自分を含めて)無駄なショットを打っていることに気付く。ボクシングで相手のパンチをガードしているだけでは勝てない。先に攻撃を仕掛けたり、カウンターを狙うなど、勝つために仕掛ける必要がある。例えば相手が強いショットを打った時、常にカウンターを狙う必要はない。強打に強打で返すのは、常にカウンターを狙うこと同じだ。むしろしっかりと受け切ると、相手は「自分の攻撃が通用しない」と感じるので一か八かのカウンターを狙ってミスするより有効なこともある。プロレスの力比べのようにどっちが強く打てるか、と意地を張り合う必要はない。
ゴルフの練習場でやたらとドライバーを振り回すのは初心者が多い。ドライバーショットは、最も遠くに飛ばすクラブだが、1ラウンドで多くても14回使用するだけだ。パープレーが72だから2割足らずの使用頻度だ。
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